第3回目 歯科用金属について
なぜ貴金属合金おすすめするか
患者様の口腔内の治療には様々な方法がありますが、患者様とお話をさせていただきながらその中で最も良いと考えられる方法で治療を行います。
合金を使って治療をすることが決まった場合、患者様とお話をさせていただき「貴金属合金」を使うことをおすすめしていますが、その理由は次の通りです。
・金を主体とした貴金属合金は化学的に安定しているから
貴金属合金はいろいろな種類の食べ物、飲み物や薬などをかみ砕く、混ぜる、飲み込むといった作業を行う口の中で使われる材料として大変優れています。 口の中で変質せず、身体に害を与えることが非常に少ない性質をもっている材料だからです。 貴金属合金は、素材そのものが化学的に安定している体にやさしい材料です。
・貴金属合金は加工がしやすく精度が高い
人類は金を過去3000年間以上もの間、使用し続けてきました。それは、化学的に安定しているからだけでなく、加工しやすい材料であるからです。
現在でもコンピュータや携帯電話などの重要な部品に金が使われているのはそのためです。 治療で使用する合金を歯に被せる場合は、合金でできた部分を歯に精密に適合させる必要があります。
・種類の異なる貴金属を混ぜて合金にする
金だけでは軟らかすぎて食べ物をかんだときに変形してしまいます。加工しやすくても変形して壊れてしまうのでは問題があります。
そこで、白金、銀、パラジウムなど他の金属を混ぜて天然歯に近い性質をもつ合金にする必要があります(種類の異なる金属を混ぜたものを「合金」とよびます)。
また、合金の結晶構造を緻密にして強さを出す目的や、ほかの材料と結合させる目的で微量の銅、イリジウム、インジウムなど数種類の金属を混ぜることもあります。
加工がしやすく、丈夫で、化学的に安定しているという条件を兼ね備えた貴金属合金が歯科治療に適しています。
・金を主体とした貴金属合金は天然歯に近い性質をもっている
治療する歯にとても硬い材料を使うと、場合によっては咬み合わせの反対側の歯を痛めてしまうことがあります。金を主体とした貴金属合金は適度に患者様自身の歯となじむので安心です。
セラミック焼付き用合金(メタルボンド合金)について
セラミック(陶材)は、天然歯の色調や質感をより自然に再現することができ、口の中での変色や磨耗がなく、身体にもやさしい材料です。
そのセラミックを七宝焼きのように、土台となる専用の合金にしっかり焼付けて結合させて強度を出すことが大切なので、当院ではセラミックを使う治療に次の理由で貴金属合金を使用しています。
・セラミック(陶材)とは?
セラミックは生体親和性の高い、つまり身体にやさしい材料の一つです。
しかもプラスチックのように時間の経過とともに色調が変わってしまったり、擦り減ったりすることがない優れた材料です。
・セラミックと貴金属合金の相性について
性質の異なるセラミックと土台の合金を充分に結合させるためには、お互いの相性がとても重要になり、特別な専用の合金が必要になります。
金などの貴金属を主体とした特別な専用合金は、セラミックとの相性がとてもよく、セラミックと充分に結合し、長持ちすることが長い経験からわかっています。
・セラミックを結合させる専用合金も適合することが大切
セラミック焼付け用合金の場合でも、被せる歯にぴったり適合させることが必要です。
セラミックを焼付けて結合させる合金の場合も、貴金属合金を使うと患者様の歯に適合しやすくなるという特長があります。
土台となる貴金属合金全体をすべてセラミックで覆ってしまう方法や、合金の一部を露出して一部だけをセラミックで覆う方法があります。
どちらの方法をとるかは患者様の状況に応じて判断して設計します。
露出した合金の表面が反対側の咬み合わせる歯と接触する場合、貴金属合金は患者様の咬み合わせの歯を痛める危険性が少ないといわれています。
金属アレルギーについて
アレルギーに対する関心が高まっています。
歯科の分野でも、金属アレルギーが原因で治療を受けられる患者様もいらっしゃいます。
・金属アレルギーとは
花粉・ダニ・食物など、数多くのアレルギー源がありますが、金属が原因となるアレルギーを金属アレルギーといいます。
金属のアレルギー源としては、ピアスやネックレス、時計などの金属装飾品や、口腔内の金属があります。
金属が接触している部分に炎症や湿疹ができることが多いのですが、原因となる金属から離れた場所にできることもあります。
・どうして金属アレルギーが起こるのか?
口腔内のpH(ペーハー)の状態やガルバニー電流によって溶け出した金属イオンが体内に取り込まれると、特定の蛋白質と結びついて抗原になります。
この抗原は体内異物として身体によって認識され、再び同じ金属イオンが体内に取り込まれるとリンパ球の攻撃を受けることになります。
この結果、皮膚や粘膜などに炎症やかゆみなどの症状が出ることがあります。
・金属イオンの溶出とは?ガルバニー電流とは?
口腔内のpHには個人差があります。
食物などによって口腔内が長時間酸性状態を保つと、金属は次第にイオンとなって溶け出します。
また、口腔内にいろいろな種類の金属があると、異種金属間に電位差を生じ、イオンになりやすい金属が溶け出しやすくなります。
この電位差によって流れる電流のことをガルバニー電流といいます。 金や白金などの貴金属は、イオンになりにくい安定した金属元素です。
・パッチテストとは?
混ざりもののない純粋な金属をとかして溶液を作り、それを小さな布に吸わせて皮膚に貼り付け、どの金属によって炎症が起こるかを調べます。
このテストのことをパッチテストと言います。
このテストによって、その人のアレルギー源を突き止めます。
人によってはどの金属にもアレルギーを起こすことがありますが、一般的には金や白金などのいわゆる貴金属を多く含んだ合金ほどアレルギーを引き起こす可能性が低いことが知られています。
第2回目の今回は「マイクロスコープ」です。第一回目と同様に、この機器はどういったものなのか、設備投資としてはかなり高額で、直接的に吉川歯科医院の収入とはならないのになぜ導入しているかを少しでもご理解いただければと思います。