Periodontal

歯周病治療

歯周病の解説イメージ

歯周病について

50代で歯が抜ける原因の約3分の1は歯周病です。歯周病は、歯を支える「歯槽骨(しそうこつ)」という骨が溶ける病気であり、特殊な再生療法を除いて一度溶けた骨は元に戻りません。最大の恐ろしさは痛みのないまま進行することで、治療は「治す」のではなく「進行を食い止める」ことが基本となります。また、原因は細菌だけでなく噛み合わせや歯並びであることも多いため、治療には矯正や噛み合わせの調整も含まれます。

歯周病は痛みがなく
進行します

皆様、むし歯になれば痛くなりますよね?だから「痛くなったら歯医者に行くものだ」と思う方が多いわけです。
痛みがなく進行する歯周病になると、歯の表面はむし歯ではないけれど、歯ぐきの下で歯周病が進行し、むし歯になって久しぶりに歯医者に行ってみたら歯周病が進行していた、ということが多いのです。
こういったことはよくありますが、患者様ご本人には自覚はありません。ですから「○○さん、むし歯の治療の前に歯石を取るようにしましょう」と申し上げても、なかなか理解をしてくださらないということがよくあります。
基礎工事なくして家は建ちません。歯についても同じで、歯周組織の改善がまず第一だということを知っていただきたいのです。

歯周病セルフチェックリスト

「じゃあ、どうやって気づけばいいの?」と疑問に思われるかもしれません。ご自身でチェックできる以下の項目を確認し、自分ごととして捉えて早期発見につなげましょう。

  • 歯磨きをすると血が出る・お水がしみる
  • 朝起きたとき、口の中がネバネバして不快感がある
  • 口臭が気になるようになった、または人から指摘された
  • 歯ぐきがむずがゆい、赤っぽく腫れている
  • 以前よりも歯が長くなった(歯ぐきが下がった)気がする
  • 歯と歯の間に食べ物がよく詰まるようになった
  • 固いものを噛むと、歯が浮くような鈍い痛みがある
  • 指や舌で触ると、歯がグラグラと動く・隙間が空いてきた

「むし歯」や「歯ぐき」に関する
よくある誤解と治療の違い

多くの方は「歯が抜ける原因はむし歯だ」「歯は歯ぐきで支えられている」と思いがちですが、これらは代表的な思い込みです 。
一般的なむし歯であれば、悪くなった歯の表面を削って詰め物をしたり、被せ物をしたりすることで物理的に補うことができます 。しかし、歯ぐきの下にある骨(歯槽骨)は、むし歯のように「削って詰める」という修復が一切通用しません 。骨という目に見えない土台の病気だからこそ、表面的な治療とは根本的に異なる難しさがあるのです。

歯周病の進行具合と
治療方法

  • 軽度歯周病のイメージ(歯肉の腫れとプラークの付着)

    軽度歯周病

    歯と歯肉の間にプラーク(歯垢)や歯石が溜まり、細菌の繁殖によって歯肉に炎症が起こった状態です。歯肉の腫れや出血などを伴います。

    治療法

    この段階であれば、歯科衛生士によるブラッシング指導や、1~2回の歯のクリーニングを行うことで、比較的短期間で回復します。

  • 中等度歯周病のイメージ(骨の後退と歯周ポケットの深化)

    中等度歯周病

    口臭や出血がひどく、歯石の付着も目立ち、専門家が見れば歯肉にも炎症を起こしているのが確認できます。徐々に骨が後退し始め、歯周ポケットも深くなり、歯も動揺してきます。

    治療法

    この段階では、歯の表面に沿って歯肉溝の奥まで付着した歯石を取っていきます。痛みを感じるときは麻酔をして、無痛状態の上で行います。歯周ポケットの深さや歯の本数によって前後しますが、3〜8回かけて歯石除去を行います。
    歯肉溝(ポケット)の深さが6mm以上あるところは、通常の手用器具を用いた非外科的な処置は見込めないため、歯周外科の適応となります。

  • 重度歯周病のイメージ(骨の大幅な破壊と歯の激しい動揺)

    重度歯周病

    さらに進行し、歯肉は化膿して真っ赤に腫れます。
    骨もかなり破壊されて後退し、歯の動揺がグラグラと大きくなっています。

    治療法

    重度の場合、非外科処置では対応できない部位があれば歯周外科にて対応します。それでも保存不可能な場合は、残念ながら抜歯となります。

当院の歯周病治療

高濃度次亜塩素酸水の使用

通常、ほとんどの歯科医院では歯周病治療の際にお水を使用しますが、当院では高濃度次亜塩素酸水を使用します。スケーリング(歯石取り)を超音波を使った器具で行う際に、お水の代わりに高濃度次亜塩素酸水を使うことにより、口腔内のバクテリアをより多く除去することができます

次亜塩素酸とは、もともと私たちに備わっている人体由来の免疫成分です。そのため生体親和性があり、非常に安全に使用できます。この次亜塩素酸を、歯周病細菌を殺菌する効果的な濃度に調整したものを使用します。

この特徴は、タンパク分解洗浄(歯周ポケット内の汚れを固めて洗浄)しながら殺菌も同時に行うことができる点にあります。

マイクロスコープによる質の高い歯周外科治療

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した精密な歯周外科手術の様子

重度歯周病では、外科的な処置が必要です。マイクロスコープを使うことにより、非常に小さいメスを用いた手術が可能です。傷口の縫合も髪の毛より細い糸で行うことができ、とても繊細で正確に施術ができるため、術後の痛みや不快感を抑えながら審美的に仕上げることができます。
なんとマイクロスコープでは、メスで人の髪の毛を縦に4等分に裂くこともできるくらい拡大して処置を行うことができます。

半導体レーザーを使った光線力学的治療法

半導体レーザー機器を用いたお口の中の殺菌・滅菌治療の様子

この治療は、炎症が起きている歯ぐきの溝(歯周ポケット)の中をレーザーを用いて焼いて、蒸発させるというものです。治療中、ほとんど出血や痛みはありません。歯と歯肉の間にレーザーを照射することで歯周病の原因菌を除去し、弱っている歯肉の血行を良くして、健康な引き締まった歯肉を再生します。

従来のような歯肉の切除は必要なく、麻酔もせずに歯周病の治療が可能となります。進んでしまった歯周病でも、レーザー治療を行うことで「出血の抑制」「歯石が取り除きやすくなる」「不安定だった歯も歯肉が引き締まって安定する」などの効果が得られるのです。

レーザー光には「創傷治癒促進作用」という、組織を活性化して細胞の再生を促す働きがあります。このため、歯周病の進行状態によっては半年以上かかっていた治療も、レーザー治療では2ヵ月ほどで歯肉が退縮することもなく、キレイな形で回復します。

歯周組織再生療法(リグロス):保険適用

歯周病で抜歯と診断されても諦めないでください!リグロスで残せる可能性があります!

リグロスとは、重度歯周病で失われた歯槽骨や歯根膜の再生を促進する成長因子製剤です。プラークや歯石を徹底除去した清潔な環境下で適用すると、損傷部位の細胞活性化により、健康な歯周組織への回復が期待できます。ただし歯槽骨の吸収程度や患者様の治癒力により、効果には個人差があるのも事実です。適応の可否については精密検査による判断が必要となります。

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その他歯周外科手術

ガミースマイル治療

笑顔の女性の口元

笑ったときに歯ぐきが大きく露出してしまう「ガミースマイル」のお悩みに対しても、当院では歯周外科処置によるアプローチを行っています。
ガミースマイルは骨格だけでなく、加齢(老化)によるお口周りの筋肉の緩みや、歯ぐきの変化によって目立ってくるケースも少なくありません。当院では、歯周組織の健康維持という「機能面」はもちろん、美しいスマイルラインを作る「審美面」の両方から、ミリ単位の精密なコントロールを行っています。

クラウンレングスニング(歯冠長延長術)

クラウンレングスニングで被せ物の土台となる歯質を確保するイメージ

歯ぐきを少し下げ、隠れている健康な歯の構造(歯質)を露出させることで、通常であれば抜歯と診断されるような深いむし歯や、根元で割れてしまった歯を保存可能にする外科手術です。マイクロスコープを活用してミリ単位で精密に骨の形を整えることで、被せ物をしっかりと固定できる確実な土台を作り上げ、大切な歯の寿命を延ばします。

歯周病を悪化させる
要注意習慣

歯周病は「菌」や「咬み合わせ」だけでなく、毎日のライフスタイルとも密接に関係している生活習慣病の一面を持っています。これらを意識することが、より深い予防につながります。

  • 喫煙(タバコ)

    タバコに含まれる有害物質が血管を収縮させ、歯ぐきへの血流を阻害します。免疫力が低下し、歯周病の進行を劇的に早める最大のリスク要因です。

  • ストレス・睡眠不足

    過度なストレスや睡眠不足が慢性化すると、自律神経が乱れて身体全体の免疫力が低下します。その結果、歯周病細菌への抵抗力が弱まります。

  • 食習慣

    時間を決めずに食べる「ダラダラ食い」や、糖分の多い食事・間食は, お口の中の細菌の絶好のえさとなり、プラークを急速に増殖させます。

歯周病と全身疾患の
関連性

成人の大多数が罹患している歯周病は、歯を失う最大の要因となっています。
また最近の研究では、口腔内にとどまらず、血流を介して全身に悪影響を及ぼす事実が次々に明らかになってきました。
特に血栓形成により脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上昇し、糖尿病の血糖コントロールも悪化させます。
誤嚥性肺炎や関節リウマチとの関連も指摘されており、早期の治療介入が重要です。

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歯周病と関連のある疾患

歯周病は全身的な疾患と密接に関係しています

  • 心臓疾患

    全身を巡る歯周病菌は動脈硬化を進行させ、血管を狭窄させます。心臓への血液供給が阻害されることで、心筋梗塞や狭心症の発症率が高まるのです。

  • 脳梗塞

    血管内で歯周病菌が作る血栓は、脳血管を詰まらせる危険性があります。脳への血流が遮断されれば、脳梗塞や脳卒中といった重篤な疾患につながりかねません。

  • 誤嚥性肺炎

    加齢により嚥下機能が低下すると、飲食物が気管に入りやすくなります。その際、歯周病菌が肺に到達すれば肺炎を引き起こすのです。日頃の口腔ケアが、生命を守る重要な予防策となります。

  • 糖尿病

    歯周病菌から出る毒素が血流に入ると、インスリンの働きを低下させ、血糖値のコントロールを悪化させます。また、糖尿病の治療によって歯周病が改善するなど、双方に深い相互関係があります。

  • 早産

    進行した歯周病による炎症物質が血管を通じて子宮へと運ばれると、子宮の筋肉を収縮させる成分を過剰に分泌させます。これにより、早産や低体重児出産のリスクが劇的に高まる恐れがあります。

歯周病治療の後は定期検診へ

歯科衛生士による定期健診・お口のクリーニングの様子

歯周病の再発率は極めて高く、治療完了後も油断は禁物です。
口臭や歯の動揺といった不快な症状を繰り返さないためには、継続的な管理が欠かせません。プロフェッショナルクリーニングで歯垢や歯石を除去し、個別のブラッシング指導で日常ケアの質を高めます。
定期的な通院はセルフケアへの意識向上にもつながります。衛生士と協力して、健康な歯周組織を維持していきましょう。

口臭検査

専用の機器を用いた口臭検査のイメージ

当院では定期健診に加え、気になる口臭についての検査も行っております。原因を明確にし、適切な対策をご提案いたします。

唾液検査

唾液によるお口の環境リスク測定(唾液検査)のイメージ

わずな唾液を採取するだけで、お口の中の歯周病菌やむし歯菌の活性度、唾液の緩衝能(酸を中和する力)などを数値化できる検査です。目に見えないリスクを把握し、一人ひとりに合わせた最適な予防ケアに役立てます。

よくある質問と回答

Q. レーザー治療や外科処置は痛いですか?

半導体レーザーを用いた治療は、ほとんど出血や痛みを伴いません。また、マイクロスコープを使用した高度な歯周外科治療や通常の外科処置を行う場合も、事前にしっかりと麻酔を行います。治療は完全に無痛状態の上で進めますのでご安心ください。また、非常に繊細に傷口を縫合するため、術後の不快感も最小限に抑えられます。

Q. 歯周病の治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

進行具合によって異なります。比較的軽度であれば2〜3回、数週間程度のクリーニングや衛生指導で改善が見込めます。しかし、歯石が奥深くまで付着した中等度〜重度の状態になり、レーザー治療や各種の歯周組織再生療法(リグロス)を併用する場合は、約2ヵ月〜4ヵ月、またはそれ以上の治療・通院期間が必要となるケースがあります。

Q. 溶けてしまった骨(歯槽骨)は完全に元の状態に戻りますか?

残念ながら、通常の治療で一度溶けてしまった骨が自然に元に戻ることはありません。歯周病治療の原則は進行を食い止めることですが、骨の溶け方や症例の条件が合致すれば、当院の「歯周組織再生療法(リグロス)」を適用することで、失われた歯槽骨や歯根膜を再び呼び戻し、健康な組織へ再生させることが期待できます。