Periodontal
歯周病治療

歯周病について
多くの方が、むし歯が原因で歯が抜けてしまうと思っています。しかし、現実はそうではありません。46~55歳の方で、歯が抜ける原因の約半分が歯周病です。
皆様、歯周病ってどんな病気だかご存知ですか?
そもそも歯というのは、何によって支えられているでしょう?多くの方は「歯ぐき」と答えます。しかし、実際には違います。実際には、歯は歯槽骨(しそうこつ)という骨によって支えられているのです。
この歯槽骨が溶けてしまう病気が歯周病なのです。歯を支えている骨がなくなってしまうと、歯は支えを失って抜けてしまうのです。
この溶けてしまった歯槽骨は元に戻るでしょうか?
実は、これは元に戻りません(特殊な再生療法以外では)!!
歯の表面であれば、悪いところを削って詰めて、被せ物をすることで補えますが、歯ぐきの下にある歯槽骨を削って詰めることはできません。ということは、歯周病は進行を食い止めることはできるのですが、治すことはできないのです。しかも!恐ろしいことに歯周病は痛みがなく進行します。
歯周病は菌が原因であることは一般的に知られていますが、実は咬み合わせや歯並びが原因であることがとても多い病気です。そのため、矯正治療や咬み合わせの治療も歯周病治療に含まれることが多くあります。
歯周病は痛みがなく
進行します
皆様、むし歯になれば痛くなりますよね?だから「痛くなったら歯医者に行くものだ」と思う方が多いわけです。
痛みがなく進行する歯周病になると、歯の表面はむし歯ではないけれど、歯ぐきの下で歯周病が進行し、むし歯になって久しぶりに歯医者に行ってみたら歯周病が進行していた、ということが多いのです。
こういうことが多いのですが、本人は自覚がありません。ですから「○○さん、むし歯の治療の前に歯石を取るようにしましょう」と申し上げても、なかなか理解をしてくださらないということがよくあります。
基礎工事なくして家は建ちません。歯についても同じで、歯周組織の改善がまず第一だということを知っていただきたいのです。
歯周病の進行具合と
治療方法
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軽度歯周病
歯と歯肉の間にプラーク(歯垢)や歯石が溜まり、細菌の繁殖によって歯肉に炎症が起こった状態です。歯肉の腫れや出血などを伴います。
治療法
この段階であれば、歯科衛生士によるブラッシング指導や、1~2回の歯のクリーニングを行うことで、比較的短期間で回復します。
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中等度歯周病
口臭や出血がひどく、歯石の付着も目立ち、専門家が見れば歯肉にも炎症を起こしているのが確認できます。徐々に骨が後退し始め、歯周ポケットも深くなり、歯も動揺してきます。
治療法
この段階では、歯の表面に沿って歯肉溝の奥まで付着した歯石を取っていきます。痛みを感じるときは麻酔をして、無痛状態の上で行います。さらに数回にわたって歯石除去を行い、歯肉の状態が改善されたあとに検査を行います。
歯肉溝(ポケット)の深さが4mm以上あるところは、通常の手用器具を用いた非外科的な処置は見込めないため、歯周外科の適応となります。 -
中等度歯周病
さらに進行し、歯肉は化膿して真っ赤に腫れます。
骨もかなり破壊されて後退し、歯の動揺がグラグラと大きくなっています。治療法
重度の場合、非外科処置では対応できない部位があれば歯周外科にて対応します。それでも保存不可能な場合は、残念ながら抜歯となります。
当院の歯周病治療
高濃度次亜塩素酸水の使用
通常、ほとんどの歯科医院では歯周病治療の際にお水を使用しますが、当院では高濃度次亜塩素酸水を使用します。スケーリング(歯石取り)を超音波を使った器具で行う際に、お水の代わりに高濃度次亜塩素酸水を使うことにより、口腔内のバクテリアを完全に除去することができます。
次亜塩素酸とは、もともと私たちに備わっている人体由来の免疫成分です。そのため生体親和性があり、非常に安全に使用できます。この次亜塩素酸を、歯周病細菌を殺菌する効果的な濃度に調整したものを使用します。
この特徴は、タンパク分解洗浄(歯周ポケット内の汚れを固めて洗浄)しながら殺菌も同時に行うことができる点にあります。
マイクロスコープによる質の高い歯周外科治療

重度歯周病では、外科的な処置が必要です。マイクロスコープを使うことにより、非常に小さいメスを用いた手術が可能です。傷口の縫合も髪の毛より細い糸で行うことができ、とても繊細で正確に施術ができるため、術後の痛みや不快感を抑えながら審美的に仕上げることができます。
なんとマイクロスコープでは、メスで人の髪の毛を縦に4等分に裂くこともできるくらい拡大して処置を行うことができます。
半導体レーザーを使った光線力学的治療法

この治療は、炎症が起きている歯ぐきの溝(歯周ポケット)の中をレーザーを用いて焼いて、蒸発させるというものです。治療中、ほとんど出血や痛みはありません。歯と歯肉の間にレーザーを照射することで歯周病の原因菌を除去し、弱っている歯肉の血行を良くして、健康な引き締まった歯肉を再生します。
従来のような歯肉の切除は必要なく、麻酔もせずに歯周病の治療が可能となります。進んでしまった歯周病でも、レーザー治療を行うことで「出血の抑制」「歯石が取り除きやすくなる」「不安定だった歯も歯肉が引き締まって安定する」などの効果が得られるのです。
レーザー光には「創傷治癒促進作用」という、組織を活性化して細胞の再生を促す働きがあります。このため、歯周病の進行状態によっては半年以上かかっていた治療も、レーザー治療では2ヵ月ほどで歯肉が退縮することもなく、キレイな形で回復します。
メリット
- 痛みや副作用が少ない
- 重度の歯周病にも効果がある
デメリット
- 光に敏感な方は治療できません.
- 保険適用外のため、自費による診療となる
| 料金(税込) | 軽度~中程度 132,000円 重度 198,000円 |
|---|---|
| 治療期間 | 3ヵ月~4ヵ月 |
| 治療回数 | 2回~3回 |
歯周再生療法(エムドゲイン)
エムドゲインは、歯周病で溶けてしまった歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜などの歯周組織を再生させる歯周組織再生療法の一種です。
「エムドゲイン・ゲル」というタンパク質の一種を歯根の表面に塗ることで、歯が生えてくるときと同じような環境をつくり歯周組織の再生を促します。
エムドゲイン・ゲルの主成分は、「エナメルマトリックスデリバティブ」と呼ばれる、豚の歯胚組織からつくられたタンパク質の一種です。
このタンパク質が、歯が生えてくるときと同じような環境を再現し、歯周組織の再生を誘導します。
メリット
- 歯周病の抑制
- 再発リスクの低減
デメリット
- すべての骨が戻るわけではない
- 保険適用外のため、自費による診療となる
| 料金(税込) | 55,000円 |
|---|---|
| 治療期間 | 1ヵ月~2ヵ月 |
| 治療回数 | 4回~5回 |
歯周再生療法(リグロス):保険適用
リグロスとは、重度歯周病で失われた歯槽骨や歯根膜の再生を促進する成長因子製剤です。プラークや歯石を徹底除去した清潔な環境下で適用すると、損傷部位の細胞活性化により、健康な歯周組織への回復が期待できます。ただし歯槽骨の吸収程度や患者様の治癒力により、効果には個人差があるのも事実です。適応の可否については精密検査による判断が必要となります。
歯周病と全身疾患の
関連性
成人の大多数が罹患している歯周病は、歯を失う最大の要因となっています。
また最近の研究では、口腔内にとどまらず、血流を介して全身に悪影響を及ぼす事実が次々に明らかになってきました。
特に血栓形成により脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上昇し、糖尿病の血糖コントロールも悪化させます。
誤嚥性肺炎や関節リウマチとの関連も指摘されており、早期の治療介入が重要です。
歯周病と関連のある疾患
歯周病は全身的な疾患と密接に関係しています
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心臓疾患
全身を巡る歯周病菌は動脈硬化を進行させ、血管を狭窄させます。心臓への血液供給が阻害されることで、心筋梗塞や狭心症の発症率が高まるのです。
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脳梗塞
血管内で歯周病菌が作る血栓は、脳血管を詰まらせる危険性があります。脳への血流が遮断されれば、脳梗塞や脳卒中といった重篤な疾患につながりかねません。
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誤嚥性肺炎
加齢により嚥下機能が低下すると、飲食物が気管に入りやすくなります。その際、歯周病菌が肺に到達すれば肺炎を引き起こすのです。日頃の口腔ケアが、生命を守る重要な予防策となります。
歯周病治療の後は定期検診へ

歯周病の再発率は極めて高く、治療完了後も油断は禁物です。
口臭や歯の動揺といった不快な症状を繰り返さないためには、継続的な管理が欠かせません。プロフェッショナルクリーニングで歯垢や歯石を除去し、個別のブラッシング指導で日常ケアの質を高めます。
定期的な通院はセルフケアへの意識向上にもつながります。当院と協力して、健康な歯周組織を維持していきましょう。
口臭検査

当院では定期健診に加え、気になる口臭についての検査も行っております。原因を明確にし、適切な対策をご提案いたします。