知っていますか?オーラルフレイル
こんにちは!皆さんはオーラルフレイルという言葉をご存知ですか?最近耳にする機会が増えてきているかと思います。
フレイルとは、加齢や病気によって心身の活力が低下し、要介護になりやすい状態のことをいいます。つまり、オーラルフレイルとは、歯や口の働きの衰えということになります。超高齢社会となった現在、歯科でもとても重要視されています。まずは、今からあげる項目にいくつ当てはまるか確認してみましょう。
- 歯の本数が20本未満である
- 最近むせやすくなった
- 食べこぼしが増えた
- 口が渇きやすくなった
- 噛めない食品が増えた
- 滑舌が悪くなってた
いかがでしたか?当てはまる項目が多い方は、お口の機能低下=オーラルフレイルの可能性があります。はじめは自覚がありませんが、徐々に先ほどあげたような症状があらわれます。放置すると要介護リスクが高まり、要介護・死亡リスクが2倍以上になるといわれています。一度要介護になってしまうと健康に戻ることは困難ですが、オーラルフレイルの段階で早めに気づいて適切な対策を習慣化すれば、健康な状態に戻ることができます。しかし、初期段階では気づかない方がほとんどで、50代くらいから自覚症状がないまま進み始めます。そこで、歯科医院での詳しい検査がおすすめです。(健康保険が利用できます)

お口の機能低下はどんな影響を与える?
⚫︎お口の機能低下と全身の健康との関係
上手にご飯が食べられなくなり、やわらかい食事はわかりで栄養が偏ります。そのため、筋力が落ちて食べる機能が低下し、さらに噛めなくなります。
お口の機能低下が進むと、全身の機能も低下していきます。その結果、要介護認定となるリスクが約2.4倍、死亡リスクも約2.1倍も大きくなります。
⚫︎誤嚥性肺炎のリスクが高まる
①なぜ誤嚥性肺炎に?
飲み込む力が低下すると、食事が気道に入る「誤嚥」が起きやすくなります。さらにお口の衛生状態が悪いと、誤嚥によって細菌が肺まで入り込み「誤嚥性肺炎」を引き起こします。

②1年生存率は50%以下
誤嚥性肺炎になると、半年生存率が54.8%、1年生存率が41.8%しかないという研究結果があります。
⚫︎認知症になりやすくなる
①食事が偏って認知症に
お口の機能が低下すると、食事を上手に噛むことができなくなります。すると、歯ごたえのある食品を避けるようになり、食事の種類が偏って認知症の原因となります。
②脳血流量が減って認知症に
お口の機能が低下してやわらかいものばかり食べるようになると、脳への刺激か減って脳血流量が減少してしまい、認知機能が低下すると言われています。
③人と会わなくなって要介護・認知症に
お口の機能が低下すると、発音に支障が出たり、容姿や表情が損なわれたりすることで引きこもりがちになり、「人と会う機会」が減っていきます。すると、体が弱くなるとともに知的な活動も減るため、要介護・認知症のリスクが高まります。
⚫︎栄養不足を引き起こし全身疾患の、原因に
①栄養が偏る
歯応えのある食品を避けるようになり、一般的にやわらかくて食べやすいものが多いとされる、炭水化物を好むようになります。
噛める人よりも偏食が進みやすいため、たんぱく質・脂質・鉄・カルシウム・ビタミンA,C,E・食物繊維の摂取量が大きく減ってしまいます。
②やがて全身疾患に・・・
栄養が偏ると筋力が低下するため、ますますお口の機能が低下し、さらに偏食が進みます。栄養不足によって、やがては骨粗鬆症や心血管疾患など、さまざまな全身疾患を引き起こすことになります。
⚫︎こんなに怖い「お口の乾燥」
①こんなにすごい!唾液パワー
唾液にはお口を清潔に保ち、細菌やウイルスに対する殺菌・抗菌作用があります。また、「虫歯菌によって溶かされた歯を修復する」という重要な働きもあります。
お口の乾燥は唾液が減っている証拠。放っておくとどんどん最近が増えて、「口臭」「虫歯」「歯周病」さらには「誤嚥性肺炎」の原因にもなります。
②インフルエンザのリスクも
ウイルスはお口からも侵入してきます。唾液には「抗ウイルス作用」があり、それらから体を守る役割があります。この「抗ウイルス作用」はインフルエンザウイルスにも効果があるため、お口が乾燥するとインフルエンザをはじめ、さまざまなウイルスの感染リスクが高まる要因になります。
口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは、オーラルフレイルの段階が進み、医学的な管理や治療が必要な状態をいいます。口腔機能低下症の潜在患者数は、50代以上で約半数、70代では80%が該当します。口腔機能低下症かどうかを調べるためには、最大で7つの検査を行います。目で見ての確認や、機器を利用した検査もあります。
①お口の中の衛生状態
②お口の乾燥
③噛む力の強さ
④舌と唇の動き
⑤舌の力
⑥噛み砕く機能
⑦飲み込む機能
このうち、機能が低下している項目数が3つ以上ある方は口腔機能低下症、1~2つの方は口腔機能低下症の一歩手前です。
口腔機能低下症と診断された場合は、トレーニングなどで機能回復・維持を目指します。お口の機能回復・維持にはご自身でのトレーニングと歯科での定期的なチェックが必要不可欠です。どんなことを行っていくかご紹介します。
①お口の中の衛生状態(口腔衛生状態不良)
歯磨きはもちろん、舌の汚れも丁寧に清掃することが大切です。
鏡の前で舌を出し、軽い力でゆっくりと前に引き出すように数回ブラッシングします。その際に強くこすらないように注意してください。口臭の改善や誤嚥性肺炎の予防が期待できます。
舌ブラシ清掃

②お口の乾燥
唾液腺マッサージを1日3回行いましょう。唾液の分泌量が増え、その唾液の働きによって虫歯や口臭の予防効果があります。また、食べ物を食べやすくなり、舌や頬も噛みにくくなります。

③噛む力の強さ
あいうべ体操では、舌や頬を噛みにくくなり、滑舌も良くなります。また、ほうれい線が薄くなる効果も期待できます。

パタカラ体操では、すするのが上手になり、食べこぼしも減り、スムーズに飲み込めるようになります。食べ物をお口の中で上手に丸められるようになります。

④舌と唇の動き
こちらも、あいうべ体操とパタカラ体操が効果的です。
⑤舌の力
スプーンプレス
舌や頬を噛みにくくなり、スムーズに食事ができるようになります。
・舌の先端部分を鍛える
スプーンのすくう側の面を歯茎を優しく磨く時くらいの力で舌の先端に10秒間押し当てます。
・舌の奥を鍛える
スプーンの反対側の面を歯茎を優しく磨く時くらいの力で舌の奥に10秒間押し当てます。

⑥噛み砕く機能
こちらも、あいうべ体操が効果的です。
⑦飲み込む能力
スプーンプレス、パタカラ体操に加えて、嚥下おでこ体操、舌回しが有効です。
嚥下おでこ体操
スムーズに食べられるようになり、誤嚥リスクも軽減できます。

舌回し
唾液の分泌量が増え、その唾液の働きによって虫歯や口臭の予防効果があります。また、食べ物を食べやすくなり、舌や頬も噛みにくくなります。
円を描くようにゆっくりと大きく舌をまわすのがポイントです。

当院では、検査を行い口腔機能低下症と診断された方に、お一人お一人に合った「お口のトレーニング処方箋」を作成しています。一緒に練習し、その後はおうちで行っていただけるようにサポートいたします。その後は維持管理を行うため、定期的にご来院いただきチェックを行っていきます。
まずは検査を受けていただくことが大切ですので、少しでも気になる項目がおありの方はぜひスタッフまでご相談ください。
口腔機能発達不全症とは?
口腔機能発達不全症とは、2018年に保険適用になった新しい歯科の病名で、18歳未満の子どもで、生まれつきの障害がないにも関わらず、食べる、話すなどのお口の機能が十分に発達していない状態を言います。
最近の調査では、10代の半分近くが口腔機能発達不全症の疑いのある症状を経験しているという結果が出ています。
次の項目に当てはまるものはありますか?
1.哺乳量・授乳回数が多すぎたり少なすぎたりムラがある
2.離乳食が進まない
3.食べ物の噛み方がおかしい
4.食べるのに時間がかかる
5.食べるときの飲み込み方がおかしい
6.なかなか飲み込むことができない
7.丸飲みしてしまう
8.食べこぼすことが多い
9.発音がおかしい
10.いつも口を開けて息をしている
11.指しゃぶりをやめられない
12.その他の口の癖がある
このようなものは、機能の問題が関係している場合があります。適切な対応をとらないと成人になってから、大がかりな治療の対象となることもあります。
口腔機能の獲得、成長発育は将来にも影響を及ぼします。こちらも、口腔機能低下症と同様に検査・トレーニングが可能ですので、お子様の状態で気になる点などございましたらぜひご相談ください。
