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虫歯は遺伝するって本当?マイナス1歳からの虫歯予防

こんにちは!吉川歯科医院です。

「昔から虫歯になりやすい」「両親も虫歯が多かったから自分も虫歯が多い」などの声を患者様から聞くことがよくあります。虫歯は遺伝するものなのでしょうか?

虫歯は感染症である

結論から言うと、虫歯という疾患そのものが直接遺伝するわけではありません。

ただし、虫歯になりやすい「体質」や「環境」は遺伝の影響を受けることがあります。

たとえば、歯の質が弱いということや唾液の量や性質によって虫歯になりやすくなりますが、加えて生活習慣や食生活、歯磨きの習慣といった家庭環境も虫歯のリスクに大きく影響するからです。

虫歯の主な原因は、ミュータンス菌という虫歯菌による感染です。

ミュータンス菌は生まれたての赤ちゃんの口には存在せず、主に家族との日常的な接触を通じて移ります。

スプーンや箸の共有、口移しで食べ物を与える行為などで唾液を介することがミュータンス菌の主な感染経路です。

感染を防ぐには、食器や箸、スプーンなどを共有しないことが基本です。また、口移しで食べ物を与える行為も控えましょう。

日々の生活習慣がお子様のその後の虫歯リスクを左右します。家族全員がこうした感染対策を意識することで、子供の口腔環境を守ることに繋がります。

赤ちゃんの歯はいつ作られている?

赤ちゃんは妊娠中のお母さんのお腹の中で、月齢にしたがって様々な体の器官が作られていきます。人の歯は生後6カ月前後に生えてくるため、すでに胎児のときから作られることを知らない方も多いかと思います。

赤ちゃんの歯の健康状態は、胎児の段階から影響を与えるといっても過言ではありません。

赤ちゃんのお口は、妊娠初期において身体のどの期間よりも非常に早い段階で作られる場所です。妊娠7週目くらいから、胎児の口の中では「乳歯の芽」と呼ばれる「歯胚(しはい)」が作られはじめ、10週目くらいには乳歯がほぼ揃い、14週目くらいからは永久歯までの形成が始まります。そして妊娠から4~5カ月が経つと、赤ちゃんの形成中の歯にはすでに石灰化(せっかいか/硬くなること)が始まるといわれています。

その間のお母さんの健康状態や、体内に取り入れられる食事の内容が、赤ちゃんの歯にも影響を与えやすいです。

赤ちゃんの歯の強さは、「歯の石灰化がいかに進んだか」によって決まってくると言われています。そのため妊娠中の方は、歯の石灰化を助けるミネラル成分、つまりリンとカルシウムが多い食事を積極的にとりましょう。

特にカルシウムは赤ちゃんの歯や骨を形成する上で重要な栄養素となるので、乳製品や海産物などから上手に摂取していきましょう。

⚫︎良質なタンパク質

魚、牛乳、豆腐、卵など

⚫︎カルシウム

ひじき、チーズ、小魚など

⚫︎ビタミンA

うなぎ、にんじん、ほうれん草など

⚫︎ビタミンC

みかん、ほうれん草、キャベツなど

⚫︎ビタミンD

さんま、卵、きのこ類など

⚫︎リン

玄米、肉類、卵など

妊娠中は口腔環境が悪化しやすくなる

妊娠中はつわりなどで食生活が変化したり、歯磨きがしにくくなる、ホルモンバランスの変化によって口腔疾患が発生しやすい環境です。お口の環境が悪くなる要因を知り、適切に対処することが大切です。

要因①悪阻(つわり)

妊娠初期に発生することのある悪阻は、嘔吐や過食、眠気などの症状を呈します。お口の中は通常でも触覚が発達していますが、妊娠中はより繊細になります。そのため、歯ブラシをお口に入れることが困難になったり、一度に量を食べられなくなりちょこちょこ食べが増えるなど、お口の中に食べ物が残りやすくなります。

また、嘔吐してしまう場合は、強酸性の胃液が逆流することによって、お口の中が酸性になってしまい、虫歯が発生しやすくなります。

要因②ホルモンバランスの変化

妊娠中は、ホルモンバランスが変化して女性ホルモンの血中濃度が高くなります。エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンは歯周病菌の1つであるプレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)の増殖に関わります。

歯周病菌が活発になると、子宮収縮作用のあるプロスタグランジンという物質が増加するため、早産や低体重児出産のリスクが増加すると考えられているのです。そのリスクは喫煙などよりもはるかに高く、通常の約7倍と言われています。

妊娠中の口腔環境悪化を防ぐために

妊娠中の悪阻やホルモンバランスの変化を防ぐことはできません。しかし、嘔吐した場合は歯磨きをする、歯磨きが気持ち悪くてできなければ少なくともうがいをする、水を飲むなどしてお口の中を中性に戻しておくことで虫歯の発生リスクを抑えることができます。ちょこちょこ食べをする場合もこまめに歯を磨く、おやつと一緒にお茶を飲むなどしてお口の中が酸性になってしまう時間を短縮することが大切です。

また、ホルモンバランスによる妊娠性歯肉炎は、お口の中をきれいに保つことで悪化を防ぐことができます。

家族みんなでお口のケアをすることも大切です

生まれてくる赤ちゃんのために、ご家族みなさんでお口のケアに取り組み、細菌の数を減らしておくことをおすすめします。ご家族皆様でお口のケアに取り組むことで、よりお口への関心も高まります。

感染の窓とは?

虫歯菌が子供の口に最も定着しやすい時期を指します。乳歯が生え揃う1歳半~2歳半頃が該当します。この時期にどれだけ虫歯菌への感染を抑えられるかで、その後の虫歯のなりやすさが変わると報告されています。

また、5歳後半~6歳頃に1番奥に生えてくる永久歯を6歳臼歯と言います。生えたばかりのこの歯は歯質が弱く酸に弱いため虫歯になりやすいのです。歯肉から顔を出す間際は、特に歯ブラシが歯の表面に届きにくいため注意が必要です。

さらに、12~13歳頃にさらに1番奥に生えてくる永久歯を12才臼歯と言います。歯ブラシが届きにくく、目視で確認しづらい歯です。歯磨きが不十分になりやすく、6才臼歯と同じく生えてくる最中に虫歯になる子も多くいます。

虫歯にならないためのポイント

①良い食生活習慣を身につける

虫歯菌を完全に避けることは難しいですが、甘いもの避けることで菌の増殖を防ぐことができます。また歯に良い食材を積極的に取り入れましょう。リンやカルシウムなどのミネラルを多く含むものや、よく噛み唾液がたくさん出るような食品がおすすめです。

ダラダラ食べもNGです。常にお口の中に食べ物があると、虫歯ができやすい酸性の状態に傾いたままになります。食事やおやつはきちんと時間を決めてとりましょう。

②歯磨き習慣を身につける

最初の歯が生えてきたら歯磨きを始めましょう。寝かせ磨きで、あやしたり、歌いながら、鉛筆持ちで、1本ずつ優しく磨いてあげましょう。上の前歯に張り出しているすじ状の部分に歯ブラシが当たると痛いので、すじを避けて当たらないようにします。立って歩きまわるようになる1歳くらいから、歯磨き中の転倒による事故が増えるので注意が必要です。

虫歯予防には食後の歯磨きが大切です。食べた後は必ず磨く習慣を子供の頃からつけることは、生涯自分の歯でおいしく食べるためには重要です。さらに、まだ自分でうまく磨くことができない年齢のお子さんはもちろんのこと、一人でみがけるようになっても、小学校中学年くらいまでは仕上げ磨きをしてあげましょう。

③フッ素を使用する

フッ素の使用は虫歯予防に効果があります。家庭では、仕上げ磨き時にフッ化物配合歯磨剤を使用します。年齢により、使用量や濃度が異なりますので歯科医院でアドバイスを受けましょう。また、歯科医院でフッ化物の歯面塗布を行うことで、虫歯の予防効果が高まります。

④かかりつけ歯科を定期的に受診する

虫歯治療が必要になってから初めて歯医者に行くと、 「痛い」「怖い」というイメージが強くなりがちです。予防歯科として楽しい雰囲気で通う習慣をつけておけば、歯医者を怖がらずに過ごせるようになります。