Column

予防歯科歯周病

歯を失う原因、第1位は?

第1位は、年齢ではありません

「年を取ったら、歯は自然に抜けてしまうもの」

そんなイメージを持っている方はいませんか?

「歳を重ねれば入れ歯になるのは仕方ない」

「歯がなくなるのは年齢のせい」

「今は特に痛くないから大丈夫」

実は、歯を失うことは単純に「年齢」が原因というわけではありません。

歯を失う大きな原因として知られているのが、歯周病とむし歯です。

2018年に行われた全国的な抜歯原因の調査では、歯を抜くことになった原因として最も多かったのが「歯周病」で約37%を占めていました。

次いで「むし歯」が約29%、「歯の破折」が約18%という結果でした。

つまり、歯を失うことは「歳を取ったから仕方がない」と諦めるものではなく、日頃のお口のケアや定期的なチェックによって、予防を考えることができるのです。

では、歯を失う原因第1位の「歯周病」とは、一体どんな病気なのでしょうか?

「歯周病」ってどんな病気?

歯周病という名前は、テレビやインターネットなどで一度は聞いたことがある方も多いと思います。

しかし、

「歯ぐきから血が出る病気でしょ?」

と、少し軽く考えている方もいるかもしれません。

歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。

歯と歯ぐきの間に汚れがたまると、そこに細菌が増えて歯ぐきに炎症が起こります。

さらに進行すると、歯を支えている骨にまで影響が及び、最終的には歯を支える力が弱くなってしまいます。

歯がグラグラするようになり、場合によっては歯を残すことが難しくなってしまうこともあります。

厚生労働省も、歯周病が進行すると歯を支える骨が溶け、歯がグラグラして自然に抜け落ちることがあると説明しています。

つまり、歯周病は「歯ぐきから血が出るだけ」の病気ではなく、大切な歯を支えている土台に関わる病気なのです。

歯周病が怖い理由は「気づきにくい」こと

むし歯の場合、「冷たいものがしみる」「歯が痛い」など、何かしらの症状が出て歯科医院を受診する方も多いと思います。

一方で、歯周病は痛みなどの分かりやすい症状がないまま進行することがあります。

そのため、

「歯が痛くないから大丈夫」

と思っていても、実は歯ぐきの中で少しずつ変化が起こっている可能性があります。

例えば、

・歯磨きすると歯ぐきから血が出る

・歯ぐきが赤く腫れている

・以前より歯ぐきが下がってきた気がする

・口臭が気になる

・歯と歯の間に食べ物がよく挟まる

・歯が少し動くような感じがする

・朝起きたとき、口の中がネバネバする

このような症状はありませんか?

もちろん、これらの症状があるからといって、必ず歯周病だと決まるわけではありませんが、気になる症状がある場合には、一度歯科医院でお口の状態を確認してもらうことをおすすめします。

「歯磨きすると血が出る」は放置していませんか?

「歯磨きすると血が出るけど、強く磨きすぎただけかな?」

そう思って、そのままにしていませんか?

歯ぐきから出血する原因はいくつかありますが、歯ぐきに炎症が起こっているサインの一つでもあります。

血が出るのが嫌だからといって、その部分を避けて歯磨きをしてしまうと、さらに汚れが残ってしまうことがあります。

「血が出るから磨かない」のではなく、まずはなぜ出血しているのかを確認することが大切です。

歯科医院では、お口の状態を確認しながら、どこに汚れが残りやすいのか、どのように歯磨きをすればよいのかを一緒に考えることができます。

歯周病の原因は「歯磨きだけ」ではありません

歯周病予防と聞くと、「毎日しっかり歯を磨けばいい」と思うかもしれません。

もちろん歯磨きはとても大切です。

しかし、歯周病には毎日の生活習慣など、さまざまな要素が関係しています。

例えば、喫煙は歯周病や糖尿病などの全身状態との関係も指摘されています。

さらに、歯並びや噛み合わせ、歯ぎしり・食いしばりなど、お口の環境によってもケアの方法は変わってきます。

だからこそ、

「毎日歯磨きしているから絶対に大丈夫」

と考えるのではなく、自分のお口の状態を知ることが大切なのです。

歯ブラシだけで大丈夫?

毎日歯磨きをしている方でも、歯ブラシだけでは汚れを落としにくい場所があります。

代表的なのが、歯と歯の間です。

歯ブラシの毛先が入りにくい場所には、歯垢が残ってしまうことがあります。

そこで活用したいのが、デンタルフロスや歯間ブラシです。

歯と歯の間の大きさやお口の状態によって、適した道具は異なります。

「フロスと歯間ブラシ、どっちを使えばいいの?」

と迷う方も多いと思います。

そんなときは、ぜひ歯科医院で相談してください。

自分に合った道具や使い方を知ることで、毎日のケアがより効果的になります。

歯科医院はは痛くなってから行く場所ではなく、定期検診に通う場所

歯医者さんというと、

「歯が痛くなったら行くところ」

というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

もちろん、歯が痛いときには早めに受診することが大切です。

でも、本当に大切なのは、痛くなる前からお口の状態を確認しておくことです。

定期検診では、むし歯の有無だけでなく、歯ぐきの状態や歯垢・歯石、磨き残しなども確認します。

自分では見つけにくい場所の変化をチェックしてもらったり、自分に合った歯磨き方法を教えてもらったりすることもできます。

「特に困っていることがないから行かなくてもいい」

ではなく、

「困ったことが起きないように行く」

という考え方に変えてみませんか?

歯を1本失うと、どうなるの?

「歯が1本くらいなくなっても、他の歯で噛めるから大丈夫」

と思っていませんか?

歯は1本1本が独立しているように見えますが、実際にはお互いに支え合いながら、噛むという役割を果たしています。

歯を失うと、噛み合わせのバランスが変わったり、残った歯に負担がかかったりすることがあります。

厚生労働省も、奥歯が失われると、その前方の歯にかかる負担が大きくなり、さらに歯を失いやすくなるという悪循環について説明しています。

だからこそ、「1本くらい」と考えず、今ある歯をできるだけ長く残すことが大切なのです。

「80歳で20本」を目指す8020運動

歯の健康について調べていると、「8020」という言葉を目にすることがあります。

これは、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという考え方です。

20本以上の歯が残っていると、食事を楽しむために必要な「噛む」という機能を保ちやすくなります。

もちろん、すべての人が80歳で20本という数字を達成しなければいけないということではありません。

大切なのは、「できるだけ自分の歯を残したい」という意識を持ち、日々のお手入れや定期的な歯科受診につなげることです。

今日からできる「歯を守る習慣」

では、大切な歯を守るために、私たちは何ができるのでしょうか?

まずは、無理なく続けられることから始めてみましょう。

① 毎日の歯磨きを丁寧に

ただ回数を増やすだけではなく、磨き残しやすい場所を意識して磨きましょう。特に、歯と歯ぐきの境目や奥歯は丁寧に。

② 歯と歯の間もケアする

歯ブラシだけでは届きにくい場所には、フロスや歯間ブラシを活用しましょう。

自分に合ったサイズや使い方が分からない場合は、歯科医院で相談してみてください。

③ 歯ぐきの変化をチェックする

「血が出る」「腫れている」「歯ぐきが下がってきた」など、いつもと違う変化がないか確認してみましょう。

④ 定期的に歯科医院へ

痛みがなくても、お口の状態を定期的にチェックしましょう。

自分では気づきにくい変化を早めに見つけることにもつながります。

⑤ 自分に合ったケア方法を知る

お口の状態は、一人ひとり違います。

「友達がこの歯ブラシを使っているから自分も同じものを使う」ではなく、自分の歯並びや歯ぐきの状態に合った方法を知ることが大切です。

歯を失う原因の第1位は、2018年の全国抜歯原因調査では「歯周病」でした。

歯周病は、進行すると歯を支える骨にまで影響し、歯を失う原因となることがあります。

しかし、歯周病になったからといって、すぐに歯を失うわけではありません。

大切なのは、早く気づくこと、毎日のケアを続けること、そして定期的に歯科医院でチェックすることです。

「歯が痛くないから大丈夫」

「歯ぐきから血が出るけど、いつものこと」「毎日歯磨きしているから問題ない」

そう思っている方こそ、一度ご自身のお口を見直してみませんか?

鏡を見ながら、歯ぐきの色や腫れ、歯の汚れなどをチェックしてみるのもおすすめです。

そして、少しでも気になることがあれば、いつでも歯科医院にご相談ください。

歯は、失ってから大切さに気づくことが多いものです

食事をおいしく楽しむこと、笑顔で会話すること、好きなものを自分の歯で噛むこと。

そんな当たり前の日常を長く続けるためにも、今ある自分の歯を大切にすることから始めてみましょう。

私たち歯科医院のスタッフも、患者様がいつまでもご自身の歯で健康に過ごせるよう、お口の状態に合わせたケアを一緒に考えていきます。

「何をしたらいいか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

一生自分の歯で、おいしく食べて、笑って過ごすために。

今日からできる小さな習慣を、一つずつ始めてみませんか?🦷 ✨